アメリカのボディビル団体IFBBが2つに分かれ、国籍関係なく誰でもIFBBプロクオリファイコンテストに出場することができるようになり、以前に比べ比較的簡単にIFBBプロになることができるようになりました。簡単とは言いましたが以前に比べると簡単という意味です。プロになるには相当の覚悟、リスクがあります。それはステロイド、薬物の問題です。
最近の国内コンテストでもステロイド使用者が増えているような感じがします。特にプロを目指している選手は、身体が一気に変わりました。まるで魔法を使ったような変化にネットではステロイドを使っているなど、言いたい放題です。
本人でない限り真実はわかりませんが、この記事で少しは判断材料になるかと思います。しかし、選手はユーザーであってもユーザーとは言えない事情があります。IFBBではドラック(ステロイド)の使用を形式上禁止しております。
もし使用を認めた場合はコンテストに出場できなくなり、もしプロカードを持っていた場合は没収されます。そしてこの記事はステロイドユーザーを否定することを目的とした記事でもなく、ましてや肯定する記事でもありません。
「ステロイドユーザー(ユーザー)と非ステロイドユーザー(ナチュラル)はどのように見極められますか?」という単純な疑問のための記事になります。
見た目での判断
これは非常に難しいです。見た目が大きいからステロイドユーザーと思われがちですが、ナチュラルでも大きい人はいます。明らかに規格外の体をして入ればステロイドユーザーと判断できますが、遺伝子的素質が高い方ならナチュラルでも、ステロイドユーザー並の筋肉量は付きます。
いきなり身体が大きくなったとしても、トレーニングの正しいやり方を身につけたり、食事を変えたりしたことで変化する場合もあります。
このことからも見た目での判断は難しいと言えます。
ただし、ステロイドユーザー特有の発達しやすい部位はあります。僧帽筋、三角筋はナチュラルの方に比べてステロイドユーザーは発達しやすい部位です。海外のプロビルダーをみればわかります。他にもユーザーの場合は副作用があります。この副作用から見極めることもできるかと思います。
主な副作用
・女性化乳房
・吹き出物が全身に表れる
・抜け毛が多くなる
・風邪をひきやすくなる
・肝臓機能の低下
・骨がもろくなる
・情緒不安定になる(異常な興奮や逆にうつ状態)
・心臓疾患
これらで一番わかりやすいのは女性化乳房とニキビではないでしょうか。
見た目で判断できるのはこの2つですが、肝臓が悪くなると顔色が土色になったりするので肌の色なども見た目の判断材料にはなるかと思います。
しかし、成長期の男性でも女性化乳房になったりしますので一概には言えません。女性化乳房になると手術で直すしか方法はありません。
左が女性化乳房で手術後が右になります。
手術でここまで治るので、見た目の判断ではユーザーかどうかはわかりません。
ちなみに、ステロイドサイクルでケア剤を処方したとしても女性化乳房になるときはなります。ケア剤とは何週間かステロイドを使用した後に一度ステロイドの使用をやめ、ステロイドの副作用(女性化乳房など)を抑えるための薬になります。
数値での判断
ウェイトトレーニングを始めたばかりの人から「筋肉を増やせる限界はどのくらいか?」という質問がよく出てきます。
これの答えは簡単です。
しっかりしたトレーニングと栄養管理を続けた場合
1年目 約9〜11キロ
2年目 約4.5〜5.5キロ
3年目 約2.3〜2.7キロ
4年目 約0.9〜1.3キロ
平均的にこれくらいの筋肉量の増加が見込めます。ただし、何年間も間違ったトレーニングをしていて体重が変わらず、正しいトレーニングを行うことによって1年目と同じくらいの成長する場合もあります。この数字は男性向けのものです。女性はこれのだいたい半分くらいの数字が当てはまります。
さらに、若い人は年配者に比べて筋肉が増えやすいので、年齢によっても数字は変わってきます。例えば、高校生、大学生がすごく速いペースで筋肉を増やせることは珍しくありませんが、こういう場合は体重が軽い状態からスタートしていることが多く、さらに成長期で自然と筋肉の成長が進みやすい環境ができています。
現在トレーニング歴10年目だとした場合、年間に増やせる筋肉量は規則正しい食事、トレーニングを行っても500グラム程度と言えるでしょう。
年数を重ねるごとに筋肉量の増え幅もさらに減っていきます。
もし仮にトレーニング歴10年目でステロイドユーザーになった場合は、約8倍の速度で発達すると言われています。年間500グラムの筋肉増の場合、約4キロ増になる計算です。しかし、ステロイドを使ったからといって増え続けることはなく、やはりある程度までいくとそれ以上増え幅は少なくなっていきます。そしてステロイドの使用をやめると身体は元のサイズに萎みます。
このことからも10年目でいきなり身体が大きくなったりした場合はユーザーであることは間違いないと思いますが、しかしこれもまだ憶測でしかなく、数値で判断するまでには至っていません。
BMI値で判断は無理!?
BMIというものがあります。これはBody Mass Indexの略で
体重÷身長(m)÷身長 で表される肥満度を表す数値です。基準は18.5~25までとされ、25を上回れば肥満傾向にあるというものです。しかしこのBMIは筋肉が多いアスリートには適していません。体重で測るため筋肉が多いアスリートなどで測ると25なんて数値は簡単に超えてしまいます。
対してFFMIはFree Fat Mass Indexの略で日本語にすると「除脂肪量指数」と言い、除脂肪体重÷身長(m)÷身長 で表されます。この数値が25を超えるとナチュラルでは無いであろうと言われています。しかし、遺伝的に優れた選手で一番高い数値は27.3あったという報告もあります。このことからもどんなに優れていても25を超えることはほとんどありません。
(除脂肪体重とは体重から脂肪量を引いた数字。つまり体重60kgで体脂肪率が10%の人ならば60ー(60×0.1=6kg)=54kgということになります。)
FFMIで測るとこうなる!
一般トレーニーは20〜22と言われています。アマチュアトップフィジーク選手などはこの数値がほとんどです。体脂肪4%で身長165センチ体重65キロの場合、22です。
ナチュラル団体JBBFの日本選手権ファイナリストの平均的数値はおおよそ24.7です。トップ選手でもあるジェラシック木澤選手で約26、日本人で最高の遺伝子を持つと言われているナチュラルボディビルダーの鈴木雅選手は約27になります。
やはり世界チャンピオンは桁違いです!これがナチュラルの限界です。
IFBBプロボディビルダーになると、この数値はかなり変わります。
身長175センチ体重115キロの世界チャンピオン、フィルフィースは36になります!日本人プロボディビルダー山岸選手の場合、身長168センチ、コンテスト時体重95キロでFFMI値は32になります。
このように数値でナチュラルかユーザーかの区別判断はできると思います。25のラインが疑わしき線になります。しかし、トレーニング歴などでも変わってくるので、数値だけの判断も難しいように感じます。ましてやフィジーク選手はボディビルダーに比べてそこまで大きくもないので数値での判断は尚難しいと思います。
そうなるとどこで判断すればいいのでしょうか?
個人的ではありますが、私の見極め方は、
1・急激に筋肉が増えた
2・脂肪がオフでもあまり乗っていない
3・三角筋・僧帽筋が急に大きくなった
4・バスキュラリティの質感が異常
5・乳首が女性化
今回はステロイドユーザーの見極め方をまとめてみました。ハッキリとはわからないですが、「確約が得られない確信」を見つけられると思います。
*ステロイドは知識がないものが使うと危険です。気をつけてください。
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