水は身近な存在であり、なくてはならない存在です。人間は食事をしなくても水さえ飲んでいればある程度は生きていけます。
筋肉作りをしている方は、タンパク質の積極的な摂取を心掛け、脂質は控えめにする食事メニューにするなどと栄養面には気を遣っているのは多く見かけます。
しかし、身近過ぎて水分補給には意識を向けていないことがあると思います。テレビやネットの記事などで『身体の60%は水で出来ているので水分補給は大切である!』というようなことを聞いた事はないでしょうか?
どうやら筋肉の発達にも水分という存在は重要みたいです。筋肉に水分はどのような影響を与えるのかまとめていこうと思います。
1・水は栄養素の一つである
2・筋肉と水分の密接な関係とは?
3・1日の適切な水分摂取量は?
1・水は栄養素の一つである
先程も述べましたが成人男性の身体の60%は水分で構成されており新生児では身体の80%が水分であり身体にとって絶対に欠かすことの出来ない栄養素と言っても過言ではありません。
70㎏の成人男性であれば42ℓもの水分が体内にあるということになります。
① 水分の体液調整機能とは?
ヒトは水分補給をしないとどうなるのでしょうか。例えば、ウエイトトレーニングなど日常生活では失わない水分が汗などから排出されますが、脱水状態のままトレーニングを続行すると体液調整機能にはどのような影響があるかというお話です。
体液調整系は、浸透圧調節系と容量調節系からなっております。容量調節系というのは溶質を含まない水分の摂取と排泄を行っています。
浸透圧調節系は、容量調節系で摂取し吸収した水分を細胞内にどのくらいの量を送り込むかを調整する機関です。浸透圧調節系は脳の視床下部にあると言われバソプレッシンという抗利尿ホルモンが分泌されます。
このホルモンは、溶質の再吸収の亢進機能はないので濃縮された尿が体外に排出され細胞の浸透圧上昇を抑制しています。
ウエイトトレーニングなど運動により喉の渇きが生じますが、体内の水分が減少したのではなく体液の浸透圧が下がったことにより飲水行動をとります。容量調節系は心臓部にあり、高温環境下において体温を下げようとします。
皮膚の血流が増加すると同時に皮膚静脈の血液貯留が始まります。よって心臓に戻る血液量は減り体液に変化がなくとも容量調節系は体液が減ったと勘違いし喉の渇きを引き起こします。発汗が激しい場合も容量調節系が動員されます。
このようにウエイトトレーニングなど運動を行うと水分補給がしたくなるのはこのようなメカニズムがあるからです。
② 水分補給は体温調節に関係する!
先ほども述べましたが体液が減少すると細胞内の浸透圧が下がります
体液が減少すると体温調節機能に悪影響を及ぼすことがわかっています。熱中症などで寒気が出てくるのはこのためだと言われています。
③ 運動中の水分補給はストレスを軽減させる!
水分不足はストレスホルモンである副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)とコルチゾールの上昇をもたらし、ウエイトトレーニングでは非常に重要なアドレナリンの分泌に大きく関係してきます。
次のような研究結果があります。
被験者に2時間運動してもらい、その間に失われた水分を補給した場合と補給しなかった場合の、運動前、運動後、30分の回復時点での体温・血圧・心拍数を測定しました。結果、水分を補給しない場合、運動後に体温・心拍数・平均血圧・主観的疲労が水分補給をした時に比べ増大しました。運動中の水分補給がウエイトトレーニングの質を高めるということになります。
2・筋肉と水分の密接な関係とは?
まず筋肉中の水分の割合は75%でありほとんどが水分で構成されているということがわかります。水分は、グリコーゲンの合成やたんぱく質の合成に必要であり、筋肉中の細胞を膨張させておくために水分補給は欠かせません。
グリコーゲンとタンパク質の合成は筋発達させ、インスリンの分泌を盛んにさせます。
前述でもあるようにアドレナリンの分泌に貢献しストレスホルモンの抑制などによりトレーニングの質を高めることができます。
3・1日の適切な水分摂取量は?
1日に排出される水分量は 約2.3ℓであり、皮膚や呼吸で1ℓ尿や便から1.3ℓと言われています。
普通の人は1日1.5ℓの水分摂取が望ましいのです。ウエイトトレーニングを行う方は1.5ℓだと少ないです。
ウエイトトレーニングなど運動を行う時に消費する水分量は約0.5ℓ〜2ℓと言われているのでウエイトトレーニングなどハードに行う方は最低でも1日3.5ℓは必要になることになります。筋肉量によっても変わってくるので1日4ℓくらいを目安に水分補給を行うと良いでしょう。また、摂取ポイントとしてこまめに補給することが大切です。
最後に、人が『水』を補給しないで生きようとしても4〜5日で死亡してしまうと言われています。何気なく飲んでいる『水』は一番大切な栄養素の一つであり、筋肉に関してもグリコーゲンの合成からタンパク質の合成など重要な役割を果たしています。タンパク質や炭水化物と同様に水分も意識して摂取すればより一層筋肉が発達していくことと思います。