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アナボリックステロイドとは?

アナボリックステロイド基礎知識

アナボリックステロイドは(anabolic steroid)自身の体で通常行われる蛋白同化作用を外界より摂取した化学物質により化学的に行わせる薬です。化学的に男性ホルモンを作り出す薬をステロイドホルモンと言います。

皮膚疾患などで使われる糖質コルチコイド成分のステロイドとは異なります。アナボリックステロイドは筋肉増強剤として使用される事が多く、短期間で筋肉増強を現実化する事ができます。ドーピング薬物としても知られています。

アナボリックステロイドの歴史

アナボリックステロイドの歴史は、1935年に発見された物質テストステロンにより始まります。東西冷戦の激化に伴い東ヨーロッパ諸国のオリンピック選手が国絡みでドーピングを始めました。

それに対抗する形で多くの国がテストステロンの代替え合成薬の研究を始め、そして1955年、アメリカの重量挙げ選手団の専属医によって筋肉増強剤アナボリックステロイドが作られます。

1960年代には重量挙げ選手をはじめ、ボディビルダーらの間でも注目され始め、多くの選手が使用し始めました。

しかし1975年に国際オリンピック委員会により禁止薬物の項目にアナボリックステロイドが加えられ、1976年モントリオールオリンピックよりアナボリックステロイドの使用検査が始まりました。

ドーピング検査の始まりです。そして、1988年のソウルオリンピックで、100メートル金メダリストのベンジョンソンによるスタノゾノールの使用が発覚して、世間一般にもステロイドが認知されるようになります。

ボディビル界においてもミスターオリンピアチャンピオンに4度なった、アーノルドシュワルツェネッガーが映画俳優となり、その後カルフォルニア州知事となった当時、「ボディビルダーの現役当時ステロイドを使用した」と述べています。

アナボリックステロイドの効果

本来、自身の卵巣で作られる男性ホルモンの代表格テストステロンの効力をさらに強める為に合成されたものであり、たんぱく質の合成において効果を発揮します。

このことから蛋白同化ステロイドや蛋白同化剤などとも言われています。摂取したタンパク質を細胞内で筋肉にする働きがあり、アメリカスポーツ医学会は、治験を行い、数名の被験者に適切な食事、強度の強いトレーニングを行うことにより、脂肪を付けずに体重増加(筋肉増強)させる事ができることを認めています。

治療薬としてのアナボリックステロイド

医薬品、治療薬としてのアナボリックステロイドの役割は、その蛋白同化作用を用いて骨粗鬆症(骨密度が低下し、骨折しやすくなる病気)、火傷や怪我の治療、腎疾患などにも使われています。

通常、医療で使われるアナボリックステロイドはメスタノロンとメテノロンがあります。現在はHIVの治験も行われています。現在国内では医師の処方箋がない限りステロイドを購入することは不可能です。

 

ボディビルとアナボリックステロイド

1960年代になると50年代に比べ、ボディビルダーのサイズが変わります。重量挙げアスリートからボディビルダーにステロイドが蔓延して行った時期です。

しかし、国際オリンピック協議会同様にボディビル協会もステロイドの使用を禁止にします。これは今も続いています。しかし、アメリカ最大のボディビル団体IFBBでは、表向きはアンチドーピングを謳っていますが、選手はほぼ全員ステロイドを使用しています。

プロカードをかけたアマチュアの部でもプロになる為にステロイドを使用している選手がほとんどです。薬物検査がないのが現状で、もし全員薬物検査したら全員失格になってもおかしくなく、そうなると団体の存在もできなくなります。このことからもステロイドの使用は暗黙の了解になっています。

プロ現役選手がもしステロイドの使用を認めてしまうとプロカードは剥奪されてしまいます。使用していたとしても現役を辞めるまでは「使っている」とは言えない事情があります。現役を終えた選手は、ほとんどが使用を認めています。

元世界チャンピオン、ドリアン・イエーツ、ロニーコールマンも引退後に、現役時代のステロイドの使用を認め現在は使用していないと語っています。2人とも現役の頃とは別人のようになっています。

多くの人が、「ボディビルダーは皆ステロイドを使っている」と思われるようになったのには、現役を引退した選手がカミングアウトした事によることの影響も関係しています。元IFBBプロボディビルダーであった人気選手のリープリーストは現在、団体を変え、ステロイドについて動画などで語っています。

リープリーストが語る内容は、動画やSNSの普及により間違ったステロイドの仕様に対する警告的な動画になっています。動画の中で彼は、「ステロイドの量を使えば良いってもんではない。プロでも使う量は本当に少ないんだ。間違った使用量、スタックサイクルが出回っているけど本当に危ない!」と語っています。

 

ステロイドによる副作用

アナボリックステロイドで代表的な副作用は高血圧とコレステロール値の上昇です。他にも循環器系の疾患もあります。ニキビなども身体中に出ることもあります。これらは使用量によって変わります。

経口ステロイドの場合、使用量が多すぎた場合、肝臓に負担をかけます。他にも多く摂取した場合、心疾患を起こしたりもします。アナボリックステロイドの使用による死因1番は心臓発作で、2番目が自殺です。死亡後の解剖によりわかることが多く、あるボディビルダーは、通常の男性ホルモン値の約80倍あったそうです。

ステロイドはかなり心臓に負担をかけるので使用量を間違えると本当に危険です。2番目に多い自殺も、通称ロイドレイジと言われる過剰摂取(ステロイド仕様による凶暴化)からの精神崩壊、自分の感情を抑えきれない情緒不安定などが原因で自殺という結末を迎えてしまいます。

アメリカのプロレス団体WWEのトップ選手であったクリスベノワは、ロイドレイジから家族を殺し、最後に自殺したと言われています。ステロイドは身体だけでなく、精神面にも大きな影響を与えます。一度使うと簡単に筋肉が増えるので、病みつきになり、辞めると身体が萎むので、やめられない。この悪循環が起きます。

主な副作用

・心筋梗塞、糖尿病、体液性免疫異常、高血圧症、肝機能障害、前立腺肥大、毛髪の抜け毛、声が低くなる、声が高くなる、ニキビ、筋断裂、骨折、普段毛が生えていない場所に毛が生える多毛症、鬱病、妄想癖、女性化乳房、睾丸萎縮、生殖不能症、左が正常な卵巣、右が萎縮した卵巣(ステロイドによる副作用)

 

まとめ

アナボリックステロイドはとてもリスクのある薬です。そしてあまりに真実が語られていないものであるが為に今回ステロイドについてまとめてみました。

少しでもステロイドに対して知っていただければどれだけ危険かがわかると思います。使えばイイってものではありません!もし使用するのであれば色々なことを含めリスクを理解してからにしましょう。

 

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